冬。息が白くなる季節。

明日から12月だ。

外の空気を吸うと、もうそれは冬のものだから納得するんだけれど、毎日のほとんどを室内でPCとにらめっこしながら過ごしていると、なかなか季節の変化に疎くなる。

疲れた体を引きずりながら建物の外に出て冷たい風を浴び、冬を実感する。

もともと、冬は嫌いだった。

まず、夏生まれなのでそもそも寒さへの耐性が人より弱い。

それに、夏と比べて閉じて湿っぽいような冬の雰囲気が、寂しくて好きになれなくて、冬を呪ってた。

でも、いつからだろう。

相変わらず寒さへの耐性は付かないままだけれど、冬が好きになった。

師走の雰囲気も、

街のイルミネーションも、

少し切なくなる感じも、

すべてがたまらなく好きになった。

それはきっと、

大好きな歌手が冬の歌をたくさん歌っていたり、

冬の素晴らしさを教えてくれた人がいたり、

夏の太陽のようにキラキラと輝くわけではなくとも静かに輝く美しさがあると知ったり、

色々な人や経験のおかげであって。

こうやって好きじゃなかったものを好きになる瞬間こそが、生きるってことの醍醐味のひとつだと思うんだ。

またひとつ、月が変わり、季節が巡る。

このところ、なかなかバタバタしていて心を亡くしがちだったけれど、今年最後の月くらいは、もう少しだけ、もう少しだけ、自分に素直になろうと思う。

喜怒哀楽を感じて、噛み締めて、ときにはワガママに思いを語りたい。

せめて、言葉だけは素直に紡ぎたい。

たくさん重ね着できる冬だからこそ、思いはできるだけそのままで。